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執筆者の写真森 正樹

円安が技能実習生に及ぼす影響

 先日、とある製造業の社長がこんなことを仰っていました。

「森さん、最近は円安で外国人技能実習生が日本を選ばなくなっているんだよ。」


 記録的な円安が続いています。円相場は1ドル=130円台となり、輸入品の値上げラッシュにつながっております。4年前の2018年の平均が110円程度ですから、4年間で為替レートは20円の円安が進行したことになります。日本で月に16万円の給料をもらったとすれば、ドルに両替すれば、1ドル110円=1,455ドル、130円=1,230ドルですから、4年間で225ドル程(日本円で約3万円)安くなったことになります。


 この為替レートを日本円からベトナムのドン(VND)へ換算して考えてみましょう。2022年1月には1円=200VNDだった為替レートは、7月15日には、1円=169VND、約15%の減少となっています。つまり、日本でこれまでと同じように働いていたとしても、その貨幣価値は、かつての85%に目減りしていることになります。母国へ家族へ仕送りをすることもある彼らにとっては、切実な問題でしょう。「日本で働いても昔ほどは稼げない、なら他に国へ。」と考えるようになっても不思議ではありません。


 近年、日本の労働者の低賃金が問題視されていますが、外国人技能実習生も例外でありません。もし、外国人技能実習生を「低廉な労働力」などと考えている経営者がいたとしたら大きな間違いであり、このまま賃金が停滞し続けるようだと、外国人技能実習生にそっぽを向かれる可能性もあるわけです。日本の企業は「働きたくなる会社づくり」にため、賃金の引上げとそれに見合う生産性の向上、そして、労働環境の整備に本気で取り組むべき時が来たのだと思います。

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